【小説販売】『ANOTHER WORKS(+1)』(少年憧憬社:2015年11月刊行)
『ANOTHER WORKS(+1)』
売価:500円
「そういえば昔、おかしな男を遠目に見たことがある。それに似た機械で、天使を撮りたい、だなんて言っていた。変な話だ、天使は聖書にしか居ないっていうのに」。
2013年~2015年に著者が執筆し寄稿、反響があった作品に加筆修正し、新規短編を収録した裏ベスト的掌・短編集。
憧憬文庫として初の短編集となる。
【収録作】
#1 時間が止まる
#2 追うとエスケープ―auto escape―
#3 地方に住む中学生男子たちはヴィジュアル系が見せる夢を信じている。
#4 エノラ・ゲイの息子
#5 あの娘が光って見えた
#6 雪男殺人事件
収録作解説
❏ 時間が止まる
文学フリマの怪物、西瓜鯨油社が取り組んだ俳句誌第一弾に寄せられた掌編。
年老いた弟たちへの警句。
❏追うとエスケープ―auto escape― from『絶対移動中vol.15 猫とにんげん 』(絶対移動中)
絶対移動中の猫コンセプト誌に寄稿された異色短編。
日付が変わりそうなある夜、彼は自宅マンションの自転車置き場で二匹の白猫と出会う。 逃げられてしまった出来事を帰宅後に同棲する彼女に伝えるが―― 追えば追うほど逃げていく、すれ違いを描く掌編。
❏地方に住む中学生男子たちはヴィジュアル系が見せる夢を信じている。(『輝くか腐るか抗うか』より改題)
from「C-ROCK WORK」が奇々怪々の執筆陣を招集し編んだ90年代ロック小説誌『6×9=53+1』収録。
あらすじはタイトルなので割愛。「90年代にリアルタイムで遭遇したサブカルロック」というお題を与えられ、
執筆テンションがギャグで振り切れた結果完成した至極真っ当なバンド小説。
今回収録にあたりテキストデータを紛失してたため再タイプしたのだけどこの話書いた人アタマおかしいとおもいました。 1999年~2001年当時の資料としても有益。
❏エノラ・ゲイの息子 from『世界史C』(史文庫)
歴史クラスタ覇王、史文庫が織りなす歴史アンソロジー『世界史C』収録ラスト短編。
1945年 8月6日、原子爆弾「リトルボーイ」を投下した爆撃機「エノラ・ゲイ」。 世界同時多発テロが行われた翌年の2001年、「エノラ・ゲイ」号パイロットであるポール・ティベッツは、 当時の記憶をインタビュアーに語る。アメリカ合衆国の「英雄」が秘めた思いとは。
❏あの娘が光って見えた from『卒塔婆カーニバル 100夜語り』(兎角毒苺團)
兎角毒苺團が主宰したホラーアンソロへ寄稿した掌編を再編集。
宇宙で一瞬だけ起こった花火について。
❏雪男殺人事件 書き下ろし(原稿用紙換算95枚)
男が見知らぬ山小屋で目覚めたとき、朝食を用意したのは異形の怪物、雪男(ブッグフット)だった。
彼に残された選択は、殺すか、殺されるか、友達になるか。男と雪男の心理戦が始まる。
感想ツイート
【絶対移動中15、小説:追うとエスケープ --Auto Escape--、栗山真太朗】
— 有村行人:次の文フリは11月東京 (@KenKen_t) 2014年5月22日
これは私小説かと思ったら、あとがきを見て納得。夫婦の、深夜わずかに言葉を交わす時間が、見かけた子猫を軸に割れる。しかもよく深夜に犬の吠える声。(続く
@kenken_t 次の夜に判明する、犬と猫の真実、そして流れ去るわだかまり。しかし、描かれるのは、出来事からも、それを共有しようとする言葉からも、零れ落ちてしまう、個であることの宿命。(続く
— 有村行人:次の文フリは11月東京 (@KenKen_t) 2014年5月22日
@kenken_t 人の絶望的なまでの変わらなさは、文学のテーマの一つであるが、それがさりげなく凝縮された一編。密度は高いが、さらりとした文は風通しがよく、あっという間に読み終える。そして多くの方はもう一度冒頭から読み直すのではないだろうか。
— 有村行人:次の文フリは11月東京 (@KenKen_t) 2014年5月22日
「猫とにんげん」ざっくり感想
— 宵町めめ🐧よりもいコミカライズ③発売中 (@kurayamiyokocyo) 2014年5月14日
「猫にかまれて」一見固そうなのに読んでみると実に軽快な文章。トンカツもだけど、どっちかというとゴディバにやられた。くそっw 「追うとエスケープ〜」猫より夫婦の人間関係がメインに感じたが、舞台がしっかり栗山さんフィールドだった。(続く
栗山真太朗『追うとエスケープ -auto escape-』(絶対移動中vol.15掲載)読了。栗山さんの作品はいつも世界がきっちりと出来上がっており、僕はいつだって安心してそこに行くことができる。今作は、そのうえで様々な物語の予感が生まれては消えていき二重の儚さをつくりだしている
— 伊藤なむあひ (@namuahi_san) 2014年5月8日
C-ROCK WORK『6×9=53+1(ロックはゴミのひとつ上)』読了。90年代ROCKアンソロジーと銘打たれたこの本を、読まない訳がない!一度は黒歴史として自分の中から消してしまったはずの大量の固有名詞に、何度ときめいたか…六人の作者のそれぞれの90年代を味わいました!
— 伊藤なむあひ (@namuahi_san) 2014年5月31日
@write_jun 特に栗山真太朗『輝くか腐るか抗うか』を読んでるときのデシャブっぷりは異常…。
— 伊藤なむあひ (@namuahi_san) 2014年5月31日
栗山真太朗様「エノラ・ゲイの息子」意欲作ってこういう作品のことを言うんですね。こんなの普通書けないよ……。フィッツジェラルドを思わせるアメリカ的なお洒落な文章が担うこの重さ。原爆投下をアメリカ側の視点から描き、提示するそれだけでも、非常に意義のある仕事だと思います。 #世界史C
— 並木陽 (@namicky24) 2015年5月31日
#世界史C 栗山真太朗様『エノラ・ゲイの息子』
— そえ@添田健一 (@soezou) 2015年5月31日
いよいよ現代史へ。ヒロシマへ原爆投下した機長の物語。ものすべてに名前はあるけれども、愛機の機首に刻まれたこの名は何とも。沈黙せざるを得ない息苦しさを感じた。英雄とは何だろう。最後の一文に安堵した。ラストを飾るにふさわしい作品でした。
「桃花源郷」「斯くてテュランノス入滅に至る」「四品系棋」「マインツのヴィルヘルム」「愚者の碑」「アデンにて」「届かざる祈り」「マラカ琑記」「芳と烟」がとてもよかった。 #世界史C 「エノラ・ゲイの息子」もよかった。時代が近いと冷静に読めないものだね……
— 榛名 (@hrn_svb_ehmd) 2015年5月12日
『エノラ・ゲイの息子』、栗山真太朗さん著。トルーマン大統領がポール青年と会話した直後、机を殴打する描写でとにかく胸に突き刺さった。あくまでポール青年は「栄誉軍人」であり、それを命令した上がトルーマン大統領である、と意識させられてしまうすべての姿だ。全体的にさらりと流れる文章で→
— 鏡 恭介 (@Akao13x) 2015年12月8日
栗山真太朗著、少年憧憬社「ANOTHER WORKS(+1)」収録作「地方に住む中学生男子たちはヴィジュアル系が見せる夢を信じている。」読了。もうもうこの男子らが愛しくてたまらなくて頬が緩みまくった。前後作品との振り幅の大きさたるや、、珠玉の裏ベスト短編集を堪能です~。(´▽`)
— くりまる (@whitespectle) 2015年12月6日
少年憧憬社「「ANOTHER WORKS(+1)」栗山真太朗著。先日文学フリマで購入。デニーズで食後の珈琲を飲みながらお目当ての「エノラ・ゲイの息子」を読む。読了後、身体の震え止まらず。落涙。窓際の角席で壁を見ながら泣く。化粧室へ避難。あふれる涙に打ちのめされつつ、帰宅。
— くりまる (@whitespectle) 2015年11月27日
栗山真太朗著、少年憧憬社「ANOTHER WORKS(+1)」収録、書き下ろし新作「雪男殺人事件」読了後、しばし時間が止まる。全身の肌が細かく揺動し続ける。またも自分的衝撃作であった。わななきつつ自問自答。知っている。知っているぞ、この感覚。あああ。そうだ。手塚治虫「火の鳥」だ。
— くりまる (@whitespectle) 2015年12月1日
小説であれ何であれ、凄い作品に出会うと興奮したり泣いたり笑ったり言葉があとからあとから止まらなくなったり様々な反応が生じるのですが。栗山真太朗氏の作品は身体的にもやられてしまう。全身の肌が泡立ち、ざわざわして胸部の辺りが圧迫され、なんとも切ない余韻が今も続いている。物語後遺症だ。
— くりまる (@whitespectle) 2015年12月1日
言及いただきましたみなさまに改めて感謝申し上げます。